お役立ちコラム
平成24年12月14日、東京地裁で消費税・自動販売機スキーム事件の判決が言い渡されたようです。
判決文の入手ができていませんので,どのような内容になっているのか関心のあるところです。
私の認識ですと,すでに法改正によりこのスキームによる消費税の節税を図ることはできなくなっています。
もともとは,アパート経営をしようというときに消費税課税事業者選択届出書を所轄の税務署に出すことになります。これによって、消費税の申告をすることになるわけです。
さて,そういえば私の住んでいるマンションにも自動販売機が設置されているのもこういう意味があるのかなと思ってしまいます。どういうことかというと、アパート建築+自販機を設置するわけです。
自販機の売り上げは消費税の課税売上となります。ただし,アパート建築費用のうち消費税部分は消費税の経費(仕入税額控除)の対象となるのです。したがって,それなりの消費税の還付を受けることができるというスキームとして成り立っていたのでした。
例えば、サポート・アパート社が、5000万円でアパートを建築しました。消費税は250万円になります。次に、自販機も設置し売上が30万円だと消費税は1万5000円となるわけです。
そうすると,1万5000円から250万円を引いた金額、マイナス2,485,000円となり、その金額の還付を受けることができる、簡単にいうとこういうスキームでした。
もっとも、租税法は時代の移り変わりが早く、早速改正がなされており、平たく申し上げると、3年間の平均課税売上割合を用いて消費税を計算することになりました。そのため、1年目の約250万円の還付の大半は国に戻さなければならなくなってしまいました。
本日の判決は、改正前の案件についての消費税法の適合性が争われたものと考えられます。
また、情報が入りましたらお知らせしていこうと思います。
怒りは、身体に悪い影響を及ぼしています。
怒っている人に対して、怒りを感じるとき、それは自分自身も怒りという感情に汚染されていると云って良いでしょう。
勝利の秘訣というのは、怒っている人に対して怒りを感じずに済ませられることにあると考えられます。
自分自身の心を幸せに保って、怒りに染まりそうになるとき、それに気づいて落ち着くようにしましょう。
こちらが相手の怒りに染まらないとき、怒りと怒りのエスカレーションが起きることはなくなります。
法人が有している金銭債権について、法的に債権が消滅した場合はもちろん、会計上、貸し倒れ損失を計上し、債権の全額が回収不能であること等一定の要件を満たした場合には税務上も貸し倒れ損失として損金に計上されることになります。
しかし,金銭債権が本当に回収不能であるかは税務当局と争いになることもあります。
例えば、法人の有する金銭債権につき、債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになれば、明らかになった事業年度において貸し倒れとして損金処理をすることができます。
債権の全額が回収不能であるかは争いがありますが、債務名義を取得して強制執行を行ったが,回収ができなかった場合は,プラスの方向で考える一つの要素となります。
さて、簡易迅速に債務名義を得る方法として支払督促があります。
支払督促とは,主に債務者に金銭の支払いをするよう督促する旨の裁判所書記官の処分のことをいいます。支払督促は簡易な手続で申立をすることができますし,最終的には,債務名義となり強制執行をすることができます。
支払督促自体は,債権者の主張に基づいて行われ証拠の提出もいりません。これに対して、債務者は債権の存在を争った利する場合は督促異議という手続をすれば通常訴訟に移行することになります。
逆に債務者から督促異議が出なければ、債権者は強制執行をするための仮執行宣言をつけてもらう申立をすることになります。これが確定すれば強制執行ができる債務名義となるのです。
支払督促は裁判所を介して行いますから債権者が真摯に回収しようとする意思を持っていることを伝えることにもなります。もっとも、支払督促は督促異議が出されてしまいますと、通常訴訟に移行するので、最初から督促異議が出されそうな場合は、最初から通常訴訟を提起した方が妥当といえる場合があります。
支払督促についてのご相談は、法律サポーターまでどうぞ。
私は、愛知県弁護士会紛争解決センターで運営委員をしております。
ADRといわれる民間の裁判所と考えてもらえると分かりやすいかもしれません。
ADRは、紛争解決の基礎は当事者の合意(私的自治)にあります。それを後押しするのがADRという位置づけということになります。
民事に関する紛争を扱い、申立の手続は簡単、管轄の定めがないということが特徴です。
特に建築紛争、医療紛争、金融紛争に当会のADRは強みを持っています。
弁護士を依頼するほどでもないご近所トラブルに活用するということも考えられると思います。相隣関係につきましても過去3年間で24件のあっせん・仲裁を行っています。また、マンション関係のものについても実績があります。こうしたお隣さまとのトラブルは弁護士が介在する解決になじまないかもしれません。
当会のセンターをご利用されることもご検討されてもよろしいかもしれません。
さて、紛争解決センター15周年を記念した記念行事が開催されます。
そこで、「使ってみようADR~高齢者をめぐるトラブルあれこれ~」というタイトルで,平成24年12月22日、名古屋市中区役所ホール、12時30分開場で行われます。
中には、あっせん・仲裁劇も行われます。また高齢者トラブルに関してパネルディスカッションが開かれます。
お手すきの皆さま方、是非、12月22日、名古屋市中区役所ホールで,記念行事にご参加ください。
資金繰りが続かなければ企業の存続というのは危ぶまれる事態となります。
そこで,資金調達の安定化を図るのは社長の仕事だといっても良いでしょう。
中小企業の資金調達といえば金融機関からの借入です。ただし,事業の建て直し中という場合は融資を断られるケースも多いといえます。
そうすると,資金繰りを安定化させるには「支出を抑える」しかないということになります。
いわゆる「入りは早く,出はできる限り遅らせる」というものです。
ドラッカーは「創造する経営者」の中で,利益なる概念は存在せず,存在するのは「売上」と「コスト」だけである。そして,「コスト」の大半は「売上」には貢献していないという論旨を述べていたと思います。
したがって,製造原価、販管費、役員報酬、人件費の削減を資金繰りのためには行わざるを得ません。
もっとも,経常収支がプラスになっても,財務支出により資金流出がおさまらないという場合があります。もうけても出ていってしまうわけですね。
財務支出、要するに借り入れの返済が負担になっている場合は、金融機関にリスケジューリングの依頼を行い,資金繰りが回るようにしないといけません。
先ほどの続きとして,財務支出が大きい場合は,リスケジューリングをお願いするのも一つですが,同時に伴うのが法人税,地方税,健康保険料等の未払です。
当たり前ですが、税金は支払わないといけないものですし,健康保険料の事業者負担も人を雇い入れる以上当然の負担ですから,原則的に支払うという方向性でなければなりません。
もっとも,債権額確定→徴収とセクションは分かれていますから,債権額確定の段階で,「ここまで高額にならない」とミスがあれば徹底的に追及していくべきでしょう。
ただ,徴収の段階では,確定された債権額の請求をされているだけですので,お役所仕事で債権を減らしてくださいというのは銀行からリスケジュールを得るということよりもかなり難しいということは肝に銘じていてもらいたいと思います。
税金や社会保険料は,ご存知のとおり,会社預金はもちろん最悪売掛金,事業用の資産まで差し押さえてくるということもあります。
基本的に分割の交渉に出向かないと,いきなり上記の口座ロックを受けてしまうというパターンがあります。行政当局との交渉は大変な負担ですが,場合によっては弁護士に同行を頼むというのも一つではないかと思います。
基本的に債務額が増える方向での分割交渉には応じてくれませんし,クールなところは「年度末」といってくることもあります。おかしな話かも知れませんが、以前お話しした大企業相手の取引が部長が交代したとたんダメになったのと同じように,担当者が変わり一括弁済を迫られたという話もでています。
しかし,企業というのは,人々を雇い,国に税金を納め,社会の存立の基盤といっても過言ではありません。公務員の給与も日本の大半を占める中小企業から支払われた税金で支えられているといっても過言ではないはずです。
最近,担当者が自分の業務を減らすために,分割返済を一切認めずどんどんつぶす方向に梶を切っている地方都市の事務所があるといいます。ここは地方都市で温度差があります。
しかし「官から民へ」といって,「一に雇用、二に雇用、三に雇用」といっておきながら,官が民の中小企業をつぶして,多くの雇用もまたつぶすというこの実態,是非,政策担当者はみて欲しいと思うのです。
平成12年の改正によって,銀行業界と証券業界の垣根が低くなりました。
そのため,銀行員が定期預金を解約させてリスクのある投資信託や海外の外貨の購入等をすすめ,
その結果それらの商品が値下がりして数千万円の損害を受けるなどの例が出てきています。
最近の相談では準大手の証券会社でもそのようなことがあったというものがありました。
全国銀行協会に限られず,愛知県弁護士会の紛争解決センターでも金融ADRを運営しております。
金融ADRの討議も増えてきているという印象を受けます。
ホームページでご紹介しているデリバティブ取引に限らず,例えば外貨定期預金は日本円の定期とは比較にならない高利回りで元本割れをすることはない,
との説明を受けたが,その後ドル暴落により損害が被ったなど様々な銀行トラブル、証券トラブルがあります。
お悩みの際は、おひとりで悩まれず、弁護士服部までご相談ください。
たまたま,後輩弁護士のひとりが書いた国選弁護人の体験談を読みました。
これは信頼関係に基づく民事委任契約がある私選弁護人に関する記事ではありません。
ご了承下さい。
彼女の体験談はお世辞にも成功ともいえないもので,それを今後に活かすと結ばれ正直な印象で好感を持ちました。
事案は,国選としては比較的多い財産犯で,執行猶予中,被害額も少ないというもののようです。
国選弁護というのは難しいものです。
というのも,根底に必ずしも信頼関係があるわけではないことが前提とされているように思うからです。
同期が,被疑者とケンカのような状態となりましたが,ある意味「被疑者が悪いのですから」ということで辞任を裁判所は認めませんでした。
そういう砂上の楼閣のような信頼関係で熱心に活動されるというのは,本当に素晴らしいことです。
しかし,残念ながらそういう熱意を悪用するということもあります。
彼女は,家財の売却や携帯電話の受け渡しを引き受けたようです。
そこから弁償金を捻出しようとしたようです。
しかし,国選で向かい合う被疑者というのは,大変な方もいらっしゃるわけです。
なんと家財の売却で得た金銭は全部自分のものにしたいといわれて困った,というようなことが書かれています。
それがあながち非常識だ!といえないのが国選事件の哀愁というものでしょうか。
彼女は「伝わらない思い」というようなタイトルをつけています。
彼女は再度の執行猶予が夢ではないといっていますが,私が事案をみる限り読みが浅く実刑になる可能性の方が高い案件のように思いました。
ひとつ,忘れていることがあるのではないかと。
他人と過去は変えられない。変えられるのは自分と未来,ということです。
その後の彼女はというと携帯電話の行方をめぐって,被告人となったその方とトラブルが起きたようです。
国選弁護人制度は,訴訟費用負担の裁判がなされれば被告人が経済的負担をすることになりますが,国から選ばれた弁護人ですし,国が費用負担することがめずらしくありません。
公益的な立場より活動している,ということは忘れるべきではないと思います。
平静になすべきことをなすべきことが社会貢献につながるとの使命感が大事なのではないでしょうか。
一般のサービスはリッツカールトンに代表されるようにオーダーメイドなサービスほど感動されるし感謝されます。
民事の法的サービスはそういう面が強いと思います。
彼女は「ありがとう」といわれる弁護人を目指したいといっておられます。
一見,悪くないように思いますが,承認欲求が強すぎて国選弁護人の職責を越えたことをした結果,トラブルが起きた,ということを忘れているのではないかな,と思います。
プロフェッションは承認欲求だけで仕事をしてはいけません。
ところで,民事案件の依頼者の方は,「ほめてやらねば,人は動かじ」ということを心得ておられる方がおられます。
レストランでもお客様はよく御礼をいっている姿をみます。
それだけに,民事の案件において信頼関係をもって案件処理にあたらせていただけるご縁をいただくときはいつも幸いに思います。
私の入っている同友会・今野室のPRのために土屋室におじゃましてきました。
いつも元気な土屋さんは,本日は山形帰り。名古屋駅から直行なそうでお疲れさまでした。
報告されたのは,新車・中古車の販売・買い取り,貿易業をしているIさんでした。
いきなり土屋さんが,名前を間違えて紹介するのもご愛敬。
Iさんから感じたのは,幼いころからの「人と違うことをやりたい」「自動車」というものに対するパッションの強さでしょうか。
自分で創業されて,平成22年に会社化するまでは個人事業であったこともあり,尖った感性の持ち主なのだろうと思います(注:褒め言葉です)。
「ぶつかりあい」(By土屋さんの言葉)で人間関係を構築されてきたのだそうですが,従業員の定着に悩んでいた時期もあったそうです。
やはり起業当時は「自分に厳しく,他人に厳しく」という方が多いものです。
しかし,今は現場は思い切って任せることができて,会社の社長業が分かり始めたともおっしゃっていました。
ディスカッションでは,「自分は教師のいうことに反発してやりたいようにやってきたのに,従業員にはやりたいようにやらせないのではポリシーと矛盾しているよね!」と厳しい言葉も。
これは共通の戒めとしたいと思います。
昨日はお疲れさまでした!
最近、お知り合いの方から契約書のチェックを頼まれることが増えてきました。
そこで,いつも気になる点を指摘しておきたいと思います。
視点としては,①その会社に取引的なメリットがあるような体裁になっているか,②法的効果として取引に支障はないか,という2つからみます。
このブログでは,よくみられる初歩的な指摘をしたいと思います。
契約当事者が分からない。
例えば,新規事業に出資をするとか投資をするとか,そういう契約の場合,会社であるのか個人の代表取締役であるのか明らかになっていないということがあります。
実態的には同じなのでしょうが、法的には別人格であり,法的責任の追及を考えると別人格への追及はまず無理だと思っていた方が良いかと思います。
昔,法人格を利用する巧みな詐欺師を相手に訴訟をやりましたが,裁判所もそのインテンションに気付きながらも法人格否認の主張は排斥されてしまいました。
逆にいうと,法人格の違いは,特に新規取引の場合などは個人なのか、会社なのかというのは意識して欲しいと思います。個人事業とは別に別会社を立ち上げて新規事業をやりたいというケースもあります。
同じようなことで企業グループの場合,どの会社と取引をするのかの確認は怠れません。持株会社傘下の会社の場合でも法形式には別法人なのです。
契約対象の事業活動はどこの会社がしているのか、資産や知的財産の所有者、親会社や子会社をも契約当事者に入ってもらうか否かは慎重に検討しないといけないと思います。
また,商社を介して取引をする場合も基本的には,契約は両当事者間で行われるのが通常ではないかと思いますので,契約当事者が思いがけず商社になっているなどということのないようにしないといけません。
それから,調印者の問題があります。中小企業の場合、いろいろな事情により奥様が代表取締役であり,夫は取締役でもないが対内的にも対外的にも「社長」と呼ばれているなど,様々なケースがあります。
以前,読売新聞社で問題になりましたが,部長クラスに法人を代表する権限があるかどうかというと,原則は代表取締役であり,あるとしても業務を担当している取締役が法的に認められる限度といったところで,
部長クラスの場合は,実体的な支配人に該当するか否かという難しい問題もありますから,代表者から代理権が与えられているのか,実体的な権限の有無が問題となります。
特に社内の風通しが悪い会社というのは、勝手に部長が契約して社長が撤回を申し出てくるというケースもあります。
このように,契約当事者にはよく注意を払いましょう。