契約書を作成して交渉。

最近、交渉は成立したが合意書はない、合意書を成立されるのに必要な委任状を代理人がもらっていない、遺産分割協議は成立したが協議書は成立していない-といった主張に接するときがあります。

 

しかしながら、契約書なり遺産分割協議書がないにもかかわらず、合意がある、と主張するには少なからず無理があるように思います。

 

契約書の機能としては、合意した内容を明確にするということがあります。つまり合意書がないと契約の合意の内容がよく分からないのです。更に証拠という面があります。認識と認識では齟齬が生じることがありますから文面にすることで、認識の齟齬をゼロにすることができるわけです。こうした証拠が残れば、将来紛争になる確率も減少するときというべきでしょう。

 

現実に契約書が作成されていないということは合意が成立していないと推理されやすくなります。従って、契約の作成を先送りしてはいけない、ということになります。口頭でのやりとりを証拠化しておく手続をしておけば法的紛争は防止することができることが多いといえます。

 

仮に、相手方から文書化について抵抗されることがっても、「正式な書面はあとで良いので」ということで「簡単に覚書を作りましょう」といって、証拠を残して積み重ねていくというステップが大事といえます。次に覚書というからには、相手に署名をしてもらいましょう。これは後々の法的紛争を生じさせる確率を減らすリスクヘッジといえると思います。

 

せっかく合意が成立したのに、文書を作成しないということになると、裁判官としては「合意は成立していない」とジャッジしかねない面があります。彼らは書面がすべて、と訓練所で研修を受けています。

 

したがって、これまでの心理戦を駆使して合意にたどり着いたのであれば、契約書の作成までが「ゴール」ととらえて、契約書、遺産分割協議書など書類作りまでしっかり行うようにしてください。

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