大手証券会社の従業員と仕組債

大手証券会社が、顧客の適合性について、2億円の金融資産を有するという嘘の記載をして決裁を得ていたという事件がありました。そして、本件仕組み債がプットオプションの売り取引により、2倍のレバレッジをもって損害が拡大する可能性があるリスクがあるものでした。

 

顧客は、オプション取引の経験がなく、そのリスク評価の手法も知らない専業主婦でした。

 

そして、金融資産の大半の5000万円の集中投資を仕組債にさせたということで、適合性原則違反を認め、不法行為に基づく損害賠償義務を認めた判例が出されました。

 

また、説明義務違反もポイントになるわけですが、実質的には、金融工学に基づきオプション取引のリスクの特性及び大きさを十分に説明・評価手法を理解させる必要があるとしています。

 

しかも、ボラティリティ、ノックイン確率、確率的に予想される元本割れの程度について、顧客に分かりやすく説明をする信義則上の義務があるとして、信義則義務違反が認められるとしました。

 

この件では、大手の証券会社でも適合性原則が問われていること、専業主婦であること、保有資産の大半をハイリスク商品に投資させることについては、十分な適合性の検証と説明義務の履行が必要であることを示す判例といえます(東京地判平成25年7月19日)。

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