意思能力が疑われる高齢者の顧客との取引はしてよいですか。

中小企業法務専門弁護士の服部勇人です。

 

さて、金融機関や消費者向けのご相談で、このようなご相談をお受けすることがあります。

 

しかしながら、意思能力が疑われる高齢者の顧客については裁判などのトラブルに恐れがあります。

 

ポイントはご年齢といえるかもしれません。厚生労働省の統計では80歳以上については40パーセントが認知症がある、というものを公表しています。

 

ですから、原則として顧客本人との取引には応じるべきではないというのが理想論ということになります。あなた方としては成年後見の利用を求めるべきです。

また、意思能力があると判断できる場合であっても、事後的な紛争を回避するためには、診断書の提出を求めることが妥当だと思います。

 

この手の案件は相続紛争の前哨戦となる恐れがあり、金融機関なども紛争に巻き込まれてしまう恐れがあります。

 

したがいまして、複数の行員が複数回面会したり、署名の代行は認めないなど、いろいろな注意策を講じるべきです。

 

なお、本人が署名しても意思能力を欠いたとの裁判例(東京地判平成17年9月29日)も公表されています。

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