顧客の勧誘の要請があったとしても、不招請勧誘があったと認定され、損害賠償が命じられた例

不招請勧誘の禁止とは、勧誘を要請していない顧客に対し、訪問又は電話により、商品取引契約(取引の受託、代理等)を勧誘することを禁止する規制のことをいい、商品先物取引法に規制があります。

 

この判決では、顧客の側がもともとは純金積立取引に関心を持っており、証券会社の店舗を訪れたという事情があるようです。

しかし、顧客は、手持ち資金のほぼ全額を金地金を購入しており、原告が先物取引をするつもりはありませんでした。

ところが、この金地金はすぐに売却され商品先物取引を行ったということになります。

 

これは推論といわざるを得ないとおもいますが、買ったばかりの金を売るとは不合理であり、その背後には積極的な商品先物取引開始への勧誘行為があったと認定するのが相当であると認められています。

 

また、その後、顧客から勧誘を招請したとする確認書を作成するあたり、企業法務がなされていると思いますが、判決は「原告がその書類の文言の持つ意味を深く考えて署名・押印したとは考えられない」としました。

そのうえで、不招請招請勧誘、適合性違反、説明義務違反を認定し、民法715条1項に基づき損害賠償が認められています(広島地裁平成26年6月4日)、

  署名・押印をしておきながらも、不招請取引と認定された事実認定は相当に注目に値するものと考えられます。
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