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末期ガンの患者さんの損害賠償請求2013年06月04日

ホスピスの施設が過失により、社会通念上の水準にかなった治療を受けられなかったことと患者の死亡との間の因果関係の証明ができない場合、損害賠償請求をすることはできるのでしょうか。逆に受けることはできるのでしょうか。

 

結論的には、社会通念上の水準にかなった治療が行われていたのであれば、患者がその死亡の時点においてなお生存していた相当程度の可能性の存在が証明される場合は、医師は患者がその可能性を侵害されたことによって被った損害を賠償する責任があるとされています(事案は異なるものですが、最判平成12年9月22日民集54巻7号2574号)。

 

これまで因果関係の証明ができないことによる救済理論として「期待権侵害」という法的構成が使われてきました。単純に適切な治療が行われることに対する期待権やその機会を喪失したことを不法行為と構成しませんでした。

 

この判決は、生存していた相当程度の可能性が法によって保護されるべき利益であることを初めて明らかにした重要な判例とされています。すなわち、たとえば適切な治療が行われても1ヶ月後にはご逝去されるということはあり得るので、その場合、損害賠償をどのようにするのか、ということについては議論があったわけです。

なお、この考え方を敷衍しますと、「患者が生命を維持する可能性を被害法益とみる」のですから、患者が意識不明になっても損害の発生を認めることができるということになります。

 

このように、不法行為といわれても、何が「不法行為」であるかを明確にするように裁判所にいわれることがあります。特に、労務問題のような一連の継続的な事実がある場合はどこをポイントとして抽出するかは弁護士の腕の見せ所といえると思います。

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