私設私書箱保管ビジネスの注意点

大分地判平成25年10月23日は,振り込め詐欺事件の現金送付先として使用された私設私書箱の管理会社の「代表者」に対して,不法行為に基づく損害賠償義務を肯定しました。

 

この点は,取締役の個人責任が肯定されたものと考えられます。

 

70歳代女性の振り込め詐欺で被害額は1000万円であったそうですが,その郵送先が件の私設私書箱だったようです。

 

被告は,会社の業務として私設私書箱サービスを営んでいただけと主張しました。もっとも,最近は,このようなワークスペースのシェアハウスは流行っていますから,気をつける必要がありそうです。

 

さて,被告は,会社の業務として行ったにすぎないと主張しましたが,判決では共謀まで認定されてしまい,組織的,継続的にいわゆる振り込め詐欺を行ってきたことは優に推認できるとして,被告に対して,全額の1000万円の支払を命じたとのことです。

 

この点,私設私書箱会社の代表者自身が振り込め詐欺の犯人であれば自業自得なのかもしれませんが,利用目的については注意をしておかないと,犯罪を一緒にやっている,これを法律用語で「共謀」といいますが,共謀があるといわれてしまうかもしれないということになります。

 

ワーキングスペースのシェアをやっている事業では,管理も重要であることを示唆する判決といえます。

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