高齢者に対する投資信託取引の違法事例

大阪地判平成25年10月21日は,高齢の女性に対して,投資信託取引に勧誘したことは適合性原則に違反するとして,損害賠償責任を認めました。

 

この商品自体は,それほど投機性の高い商品ではないとしましたが,原告の症状及び診断内容(認知症),介護状況等に関する詳細な事実認定をしているそうです。やはり,認知症というだけでは,簡単には適合性原則違反となるわけではなく,原告側には十分な立証が求められるといえそうです。

 

そのうえで,評価額と購入代金の差額を損害と認めて,損害賠償責任を肯定したという判決のことになります。

 

この判決は,一般に財産管理能力につき女性78歳につき問題があると示したという点において,射程距離,つまり影響力の大きい判決ではないかと考えます。応用分野も証券問題にとどまらないように思います。

 

また,損害の算定の仕方としても,投資信託を現在も保有していることから,キャピタルロスの部分の差額を損害と認めたという点でも,損害賠償論としても興味深い論点を含むように思います。

 

なお,過失相殺は行われていないとのことです。

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