落語会で居眠りをした人を会場から追い出してもよいか?

会場の設営スタッフとして、落語会を主催している場合、居眠りをしている人を追い出してもよいでしょうか。

 

一般的な対応としてはほかっておく、というケースが多いかと思いますが、いびきがうるさい場合など、興行の支障になることもあります。

 

そういう筆者も結構・・・、(い)オレンジレンジのライブで、後部座席のためカメラに入ってしまうから退去して欲しいといわれた(これは結構どうかな、と当時は思いました。)、(ろ)パリでクラシックのコンサートにいったが、全然知らない曲目のときに寝てしまった-という経験があり、客の立場からも人ごとではありません(笑)。

 

裁判例では、退出させる場合、同人の不利益を考慮する必要があり、退出しなければ演目の続行が困難、主催者側の言動が社会通念上相当と認められることが必要とされています。

 

結論においては、損害賠償請求は、落語家の方がモチベーションが下がってしまうといった事情があったこと、反省の態度がない、中断をした、との関係で不法行為ではないと判断されました。

 

こうした観点からすると、少なくともオレンジレンジの件では、観客の側に入場料を払ってコンサートを堪能したいという意思・姿勢もあったところ、後部座席であるためカメラに入ってしまうから退去して欲しいというのは、かかるカメラがライブカメラとはいえず、演目の続行にも支障がないので、事態の進行によっても演目が中止になることもなく、原因が専ら主催者側にある場合において、より制限的でない他の選びうる手段、つまり空席や関係者席に誘導するなどの措置を講じる信義則上の義務があったのではないかな、と思うところです。そのときのスタッフは「カネを返すから出て行ってくれ」ということでしたが、こういう対応はサービス業としてはあり得ないでしょうし、裁判例に照らしても名誉を毀損し不法行為を構成する可能性が高いと思います。こうした主催者本位の行動は、ひいてはアーティストの評判にも関わるでしょう。

 

他方、クラシックのコンサートは、親切な人が起こしてくれましたが、とてもマイナーな曲でしたが、なんとか、耐え抜いて聴いて、お目当ての曲を堪能することができました。

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