サッカーのルールを守りながらのプレーで他人に損害を与えた場合の親の責任

今回は、最判平成27年4月9日を紹介したいと思います。

 

11歳の少年が、サッカーをしていたところ、ボールが道路上に進入しました。そして85歳の高齢者が転倒し誤嚥性肺炎により死亡したものです。

形成外科的見地から誤嚥性肺炎になるのかどうかも争いのポイントになるのではないかと思います。

 

そこで両親の責任が追及されましたが、これを認めた大阪高判平成24年6月7日を破棄し、請求を棄却する判決を言い渡しました。

 

民法714条については、広範囲に及ぶ監督義務の内容があることに照らして、その免責事由の立証に成功することは極めて困難であるとされています。

同条については、免責を認めた裁判例は存在しませんでした。

 

本件についてみると、ゴールに向かってボールを蹴らないよう指導しない限り事故を防ぐことができなかったことに照らすと、親権者が負担するべき監督義務の内容の範疇を超えるものと考えられます。小さな子どもについては、生活全般についてその身上を監護し教育すべき義務としての一般的監督義務、当該事故の態様・性質に即したものとして、危険発生の予見可能性がある状況下で権利侵害の結果を回避するために必要とされる行為をすべき義務の両方の観点からの検討が必要とされています。

 

この判例は、民法714条1項の監督義務者の責任について免責を最高裁として初めて認めた裁判例として実務上参考になると思われます。

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