長谷川豊氏の降板劇

元フジテレビアナウンサーで、横領疑惑などで退職したフリーアナウンサーの長谷川豊氏が、人工透析患者に対する不適切な記事で、テレビ番組を3つ降板しました。

 

もっとも、ヒステリック社会のようなイメージもあり、3つ問題があるような気がしました。

 

1 表現の自由の法理から

長谷川氏のブログは分析的な記事ではありませんでした。明晰にいえば医療費を抑制する必要があるから人工透析患者の医療費を削るべきだ。その論拠は彼らは不摂生で、「心を入れ替える」点が正当化根拠だという。

今般の新聞報道でがんの治療など医療費抑制の動きが報道されている。必要な医療が必要な人が受けられない現状認識をどうするか、という点を私は問題意識を持っていました。つまり、薬についても同様で処方の制限など必要な処方がされず生活の質はもちろん体調を崩してしまうのではないか、という形で思いました。

 

長谷川氏は、どうしてこのブログを投稿したのか、特に取材した形跡もありませんし分かりませんが、問題なのは、長谷川氏のブログは措辞が不適切なだけで論調としては、政府寄りの論調なのです。したがって、政府のいっていることをややラディカルにいったらそうなる、という側面もある。それを揚げ足取りのような形にしてしまっている点が問題で、本来は何が問題であるのか、対抗言論で明らかにするべきなのが本筋だろうと思います。

 

私が思ったのは、テレビ大阪がニュースプラスフライデーのアンカーを降板させたことです。長谷川氏はニュース番組で不適切な発言をしたわけではないし、本来ニュース番組のアンカーは筑紫哲也氏やダンラザーのように攻撃にさらされるものです。それは本来、テレビ局が守ってあげなければならないのではないか。切るにしても契約期間の満了などを理由とするべきであると思いました。こういうことが続くとアンカーがブログなどでオピニオンの執筆をしなくなってしまう恐れがあります。

 

2 功利主義を理解していない

大学生ならだれでも知っている功利主義。結局、医療費抑制は功利主義的発想が根底にあるのですから、弱者切り捨てという批判がつきまとうのは常識です。特に透析は、これまで強者の人が弱者になる可能性もある話しであって国民的討議の事項です。それを不摂生などというのはどうかと思います。そもそも内因性の理由で透析が必要になることもあるのであって不摂生と内因性の問題を多く抱えていた人は関係がなく、基礎的な医療知識も欠いているのではないかと思いました。

基礎的な教養不足は否めないと思います。

 

3 アナウンサーかアンカーなのか

長谷川アナウンサーは、フジテレビは出演が難しいですし、在京局の出演も難しく、東京MXテレビや在阪のテレビ大阪などの報道・情報系や在阪のバラエティに出演していました。しかし、ジャーナリストとしてアンカーを名乗るのであれば、本来は、権力の監視やリベラル的発想は欠かせませんね。しかし、彼は、どちらかいえば自己責任なり、横領疑惑を正当化するブログを掲載し自己本位な面が否めません。この論点もマクロ的には正しいのかもしれませんが、ミクロ的には、つまり透析患者に寄り添う想いからいけば、このような立論になるのか、と思います。そして、アナウンサーやニュースキャスターはジャーナリストとは少し違います。公平性が必要であることから論陣がはれないのです。

おそらく、長谷川アナウンサーは感想程度のものを投稿し、アナウンサーとしての領分とジャーナリストとしての領分を誤解していたのではないかと思います。

 

4 最後に

医療費抑制に関して、必要な医療が受けられなくなるということはあってはならないことです。長谷川アナの炎上問題に矮小化せず、透析患者のみならず、がんであるとか、うつ病であるとか、そういうところでも問題になる話しです。長谷川さんのブログを拝見しましたが全く反省がないようで、謙虚さがなく驕りたかぶっているようです。患者さんは「心をいれかえて」とか書いてあります。もうこの人物は、バラエティの色物タレント以外としては用いるべきではないでしょう。ニュース番組のキャスターやアナウンサーとしての人間としての正しさに疑問符がつきます。繰り返し、透析患者は週に2回など透析にいかなくてはいけないわけで、それは仕事をしながらであれば大変なことです。その家族も大変なことでしょう。今後とも、適切なメディカルケアを求め、私は、医療費の抑制は、相当ではないと考えるのです。

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