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美濃加茂市長の控訴審判決と推定無罪はどうなった?2016年12月08日

美濃加茂市長の逆転判決は、あまり話題にあがっていないようです。

 

中には、東芝事件をめぐる検察官の人事異動を見越して供述の信用性だけで有罪にされたのだろう、という見立ての記事もありました。

 

たしかに、NHKの報道でもあったようにロッキード事件における田中の逮捕は実は別の事柄を隠すためのものに過ぎなかったという特集がありました。

 

真実というのは、刑事裁判で明らかになるのではなく、刑事裁判は、「構成要件」という社会にしかけてあるトラップに躓いたというようなイメージに近いと思います。

 

本件でも、市長側は、贈賄側の建設会社について追加捜査はしないという司法取引に応じたと批判し、信用できない、と論じています。たしかに立件されていない様子ですから、一応考慮されるべき事情なのでしょう。あるいは事実上の影響力の行使というのもあるかもしれません。協力しなければ、他の探知している余罪も立件するぞ、ということになると、会社の番頭クラスまで逮捕されてしまうなど、いろいろな事情があるのかもしれません。

 

次に、本件の高裁の訴訟指揮は重大案件だからこそ刑事訴訟法に忠実に行われるべきで、現実には、市長と贈賄者とのいずれが信用できるかを聴くのですが、高裁は贈賄側のみを「職権」で調べるということをしました。普通は、当事者主義ですから、裁判所はお客さんです。ですから、証明責任があるのは検事であって検事の証明責任がとれない以上は、無罪のフラッグをあげなければならないというのが、疑わしきは罰せずという刑事裁判の鉄則のように思います。とはいうものの、私の当該裁判官に対するイメージは合議で結論を決めてから裁判に臨んでいる、という印象を受けますね(不思議と私の事件は刑事2部に係属しますので。)。とはいうものの、やはり立法政策としては二重の危険を防止するため、検察官控訴を禁止すべきだと思いました。今回は混乱が大きいですが、一審で無罪で二審で有罪だったら、何のための一審なの??と思ってしまいます。裁判長がちょろちょろと贈賄側の虚偽供述の利益が満載の受刑者の言い分を職権で聴いて結論が変わるくらいであれば、刑事の高裁は被告人控訴のみに限定すべきように思います。

 

本件は、市長という公職者を訴追しているのであるから、被告人質問も再度行うべきであったと思いますし、検察官の証人請求も、通常、刑事二部は認めないでしょう。なぜなら、一審でできないという事情がないからです。ゆえに、「やむを得ない事情」に該当せず、あとは職権の問題ですが職権の行使は通常は被告人に有利に用いるべきであって、不利に職権判断をする刑事裁判という高裁は聴いたことがありません。

 

そもそも弾劾主義自体否定するかのようで、単に続審制になっているという批判が十分にあたるものです。

 

とはいうものの、現実にお金を受け取っていたのか否かは本人しか知りません。そして、検察庁が30万円程度の史上最年少市長というある意味「若造」の立件にそれほど熱心な背景というのも、正直よくわかりません。裁判官で弁護士を後見業務で脅迫した裁判官は普通に判事を現在でも名古屋地裁でしていますが、たかが30万円の贈収賄と市制の混乱という利益も比較衡量し、一審は無罪を出しているという点も積極的に判断をすべきだったように思います。まあ、贈収賄ではありますが、別に起訴猶予になってもさほど異例とまではいえないとも思いますし、背景には、「構成要件」では見えないものがあるのでしょう。

 

ところで、マスコミは見向きもしなかったのですが、出直し市長選に打って出るということになりましたら、各紙が大きくとりあげるようになりましたが、たしかに最高裁の場合、美濃加茂市長、年齢、キャリアなどを総合考量すると、判断を示す時期は早いのではないか、と思います。もっとも、最高裁でも、いわゆる痴漢冤罪で無罪判決を言い渡したこともありますが、今回の名古屋高裁での審理結果を「書面」で見て、どう投影されるかでしょうか。一応はポイントを突いた質問を裁判官はしているのでしょうから、書面上は問題はないとされれば、上告棄却まで1年も要しないかもしれませんね。もちろん大弁護団の巻き返しもあり得ると思いますが、最高裁は純粋論理の世界なので、ヤメ検VS検事の訴訟戦術合戦を離れてどうみるのか、ということなのでしょう。上告審においては、是非、痴漢冤罪と同様、供述証拠のみで有罪にするのですから職権判断を示していただきたいものです。

 

出直し市長選については、推定無罪の原則がある以上、森田実氏らが批判する「我儘」批判はあたらないでしょう。というのも、彼はここで有罪を受け入れたり、あるいは、市長の職を辞せば、政治的生命はほぼ絶たれる、といっても良いでしょう。そうである以上、批判はあれど、政治的判断としては、民意を問うというのは、一審無罪、二審有罪の市長が市長職を続けて良いのか、ということを有権者に明晰に迫る、という点では、悪くないのでしょうか。ある意味、どこかの国のプルトン大統領よりかは積極性があるように思いますし、選挙は民主主義のコストですね。

 

第三者的に考えると、「市長なんて誰がやっても一緒」という考え方が根底にあるのではないでしょうか。あるいは若造・青年批判も背後にあるのではないでしょうか。

 

だから有罪の恐れがある奴など辞めてしまえ、ということなのであろうと思いますが、政治家は政策はもちろん人格、品格その他行動をみられたうえで選ばれるのですから、「税金の無駄」「身体は潔くあるべき」という批判は、やはり市長は誰がやってもそう変わらないという現実を示すものでしょう。もともと美濃加茂市長もそのような中で誕生したわけですが、だんだん市議会との関係も良好になりつつある最中の判決だったと聴きます。

 

本日、医師の依頼者が、「裁判官はミスしても責任とらなくてよいのですね。ミスしても責任とらなくて良い仕事なんてもう世の中にあるのですかね」と述べられていました。やはり本来的無責任というところで、判決自体に対する分析的検討が少ないのが残念なところですね。弁護団は判決文を公開するべきではないでしょうか。

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