秋霜烈日。

秋霜烈日というのは、検察官のバッチのことです。

 

検事には霜のような厳しさばかりではなく陽射しのような暖かさを要するとの意味があるといわれております。

 

検察官の心構えとして検察官は不偏不党、厳正公平、良識ある検察が説かれています。

 

対立当事者の弁護人として活動をするときは疑問を感じることもございます。

 

人間同士ですから仕方のないこともあります。

 

以前,とある致死罪の弁護人を被疑者段階で務めましたが,不慮の事故という面がとても強いものでした。

 

私は、不慮の事故であることを確認するために現場にも赴いて調査をしました。またご家族も処罰を求めている方はおられないことを確認いたしました。

 

そこで,一罪の一部起訴にとどめて欲しいと検察官に求めました。検察官は,例えば業務上過失致死であればそのうち「一部だけを切り取って」起訴することもその訴追裁量に含まれています。

 

当然のことながら判例もこれを認めています(最大判昭和28年12月16日)。

 

不偏不当には「真の勇気と強い責任感をもって事にあたることが必要である」とされていますが,いろいろ悩まれたと思いますが,最終的には一部起訴にとどめるという最終処分となりました。それを求めた弁護人ではありましたが,かなり先例主義からすれば思い切ったことをしてくれたな、と感じました。

真の勇気とは霜のような厳しさばかりではない,まさに秋霜烈日ではないかと。

 

このような「真の勇気」から処分をされると、弁護人として活動した弁護士としてもその「真の勇気」を感じ敬服の念を抱きます。

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