商標をTシャツにのせると商標権侵害ですか。

形式的に商品に商標を付せば常に商標権侵害となるわけではありません。実質的にみて,商標の自他商品識別機能を発揮している態様で使われているか否かが問題となります。

 

この点、ポパイ事件というものがあります。

 

商標というのは、独立した一群の商品を他の商品から区別して識別することが本質となっています。

 

そうだとすれば,識別機能が損なわれていなければ商標を使用したということにはなりません。

 

形式的には商標の使用に該当しても実質的には非侵害となる可能性があります。

 

Tシャツの胸部全面に使用した場合について,判例は,この表示は商品の製造源を知り、あるいは確認する目印として判断するとは解せられないとしています。

 

判決ではおもしろいことに本来的商標というのは控えめな場所に表示されるもので、世界的著名商標であっても商品の前面に大きく表示されることはないのが原状とも指摘されています。

 

これに反対する裁判例もあります。例えばスポーツブランドなどは,前面に大きく表示することもあり得るからです。

 

文字商標、図形商標、結合商標との違い、表示の占める割合、位置などにより判断が異なるものと思われます。つまり文字商標の場合は、保護の程度が弱くなるだろうし,図形商標の場合はTシャツの前面的な表示でも使用に該当しうる可能性があるということになると考えられます。

 

シャツの場合は、えり吊りネーム、織りネーム、吊り札、包装袋などに商標が表示されるのが通常ですし、ワンポイントマークも同様といえるかもしれません。

 

しかし,前面に押し出されている場合は意匠的効果である「おもしろい感じ」という印象という表示であり、商品の識別とは考えられない可能性もあるようです。この点は裁判例も,別れているところであり,それを狙って商標権を主張して差し止めを要求される事例も出ています。

ページの先頭へ
menu