破産管財からみる【売掛金回収】

1、売掛金の場合は、2年間の短期消滅時効が定められています(民法173条1項)。また、破産者に商品等を納入した業者が売掛先を知っている場合、その業者に動産売買の先取特権に基づいて、破産者の売掛金に対する売掛債権を佐生冴えることが考えられます。この点は、早い者勝ちということになってしまいます。

2、回収については、内容証明で督促して訴訟等の法的手段を検討するということになるが、回収の確実性を考慮すると話し合いによる解決が望ましいといえる。そこで、和解のできる通常訴訟や民事調停も考えられる。もっとも訴訟は相手方が争う姿勢を示すと換価作業の長期化を招きかねません。

3、他方、債務者の側も売掛の資料に乏しいということがありますし、契約内容がよく分からない!という事態に遭遇することはよくあることです。仮に訴訟で請求が見込まれるとしても、十分に主張立証を尽くさなければならない、ということになりますと換価の時間が長くなり、適切な戦術とはいえなくなることがあるかもしれません。そこで、あくまでも、債務者と交渉を進めるということや、債権をサービサーに売却するということも考えられる。なお、金額に争いがある場合についても、債務者の資力に問題がある場合は和解による早期解決を図ることも実務では行われている。

この点、訴訟等によって回収までの期間が長期化することを避けるため、減額を条件に債務者と交渉することもあります。資力に問題がある場合は数回の分割にする代わりに何割かは必ず回収するよう交渉することもあります。

4、債務者から相殺の主張がされた場合、裏付けとなる使用を提供するように債務者に求めるなど、破産管財人は相殺禁止の規定(破産法71条、72条)が適用されないか吟味します。

 

物品の売買については、売れ残った商品を返品するという特約、委託販売などの主張がなされる場合があり、商品を返品してくる債務者がいます。しかし、事実上のサービスとして返品に応じているにすぎないというケースが大半で特約の存在が認定されることまでは極めて稀であると考えられます。

 

従って、安易には返品には応じず、返品されても送り返すなど毅然とした対応をして売掛金の回収を目指すべきと考えられます。

 

5、売掛金がたくさんある、というケースもありますが、大半が回収の見込みがたたないという場合もあります。これらを一括して売却する方法(バンクセール)も考えられます。ただ、個々の債権の中には優良債権があるかもしれません。また、売却先、値段については慎重に協議し、管財人であれば裁判所と協議する必要が出てくる分野となります。

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