破産財団からの不動産の放棄
破産管財人は、特定の財産につき破産管財人の管理処分権を放棄し、破産者の管理処分下に戻す行為も12号の権利の放棄に含まれます。
破産者が法人の場合については、このような放棄は許されない、という議論がありましたが、判例はいわゆるオーバーローン不動産について、「破産財団からの放棄」は有効であると判断しています。
不動産について「破産財団からの放棄」を行いますと、破産管財人は占有管理義務(マンションの共益費負担義務を含む。)、民法717条の占有者責任を免れることになります。
不動産の放棄については、権利放棄ということになりますから、原則として裁判所の許可が必要となることになっています(782条12号)。放棄物件の価額が100万円以下の場合には、法令上は報告で足りることになっていますが、裁判所の許可を得ることが望ましい、とされています。
固定資産罪は、1月1日現在の登記簿上の所有者に課せられますから、次年度の固定資産税の課税を免れるためには、裁判所の嘱託を踏まえて12月半ばまでの本申請が望ましいものとされています。