取引相場のない株式の評価

 相続税法22条は、「取得の時」における時価により財産を評価する旨を定めています(時価主義)。

 

基本は、相続税基本評価通達によることになります。

 

さて、取引相場のない株式の評価の場合はどうしたら良いのでしょうか。

 

具体的には、類似業種比准方式、純資産価額方式などがあります。

 

ところで、評価方式のうち「類似業種」の方なのですが、この評価は会社の1株当たりの純資産価額を相当下回ります。

 

当然、相続財産価額は低くなった方が相続税も押さえられることになりますので、

 

・保有する土地を現物出資して会社を設立する相続税節税対策が流行しました。

 

そこで、国でこの点についての手当がなされることになりました。

 

具体的には、会社の純資産価額に占める保有株式の価額の割合が25パーセント以上の場合は、特別な評価方法が適用され、

 

評価価額が高くなってしまったのです。

 

東京地判平成24年3月2日の凄い点というのは、この25パーセント基準の合理性が争われ納税者側が勝訴したという点です。

 

この判決は、取引相場のない株式の評価方式としては、原則的評価方式の1つである類似業種比準方式が文字通り原則であり、

 

それに対して株式保有特定会社に適用されるいわゆる「S1+S2」方式は、「類似業種」を用いるべき前提を欠く場合に適用される例外的なものとされているようです。

 

そのうえで判決は、「本件相続の開始時を基準とすると、評価通達189の(2)の定めのうち、大会社につき株式保有割合が25パーセント以上である評価会社を一律に株式保有特定会社としてその株式の価額を同通達189-3の定めにより評価すべきものとする部分については、いまだその合理性は十分に立証されているものとは認めるに足りない」としています。

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