著作物性の基本

著作物というためには4つの要件が必要です。従って、意外と著作権として保護される範囲は広いとはいえません。まず①思想又は感情、②創作的であること、③表現したものであること、④文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの-ということになります。①では、単なる事実の羅列やデータそのものを除外し、②は客観的にみて個性の発揮ではない表現及び他人の作品の模倣を除外し、③アイディアのような思想・感情それ自体を除外し、④は工業製品等を除外するということになります。

 

この点、①及び④は緩やかに要件解釈がなされています。

 

著作物性の有無が問題となる大多数の意味においては、残された創作性及び表現がウェートを占めることになります。近時は、創作性及び表現を合体させて「創作的表現」というテクニカルタームも登場しています。

 

創作的表現への該当性は、作品全体が著作物になる、という観点よりも、創作的表現に該当する範囲のみが保護されるという意味となります。つまりは、部分的であれ創作的表現に該当する部分は保護されるという分析的観点もあり得るということです。このような創作的表現が認められる部分と同一性を有する利用行為の有無が侵害行為の成否を判断するための基本的な枠組みとなります。

 

また、著作物に該当しない場合でも、フリーライドするような行為については、不法行為責任を認める一連の判例があります。もっとも、著作性が否定されながら不法行為となるのですから、一部の判例は「害意」を要件とするなど成立要件を限定的にとらえるものも存在しています。

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