著作物って何ですか。

著作物というのは、4つの要素からなります。

① 思想又は感情の表現

② 創作的な表現

③ 外部的表現であること

④ 文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属する

 

実務上は②の創作性の表現であるかという法的紛争が一番多いといえます。つまり、単なる事実やデータが素材として使われていても表現それ自体に創作性があれば著作物となるということになります。ですから、社会学者の著作、データを整理して作者の視点から社会について分析を加えるようなものは「思想又は感情の表現」といえるか分かりませんが、創作性がありますので、創作性があるか否かが重要となります。

 

近時の判例は、ありふれた表現である場合については創作性を認めないという傾向にあります。

 

全体としては、その作品の性格上、正確な記述が求められるなど没個性的、つまり機能性、実用性が高いものであると、創作性が認められにくくなるということになります。

 

変な話しですが、機能的にすればするほど表現の幅が狭くなり、誰が行っても同じような表現になってしまうということになります。ちなみに、工業製品の設計図について、東京地裁平成9年4月25日は、設計法の習得者であれば、誰でも理解できる共通のルールに従って表現されるのが通常であり独創性を見出す余地がないとしており、近時は設計図についても同趣旨をいう裁判例が増えてきています。

 

地図についても、地図は客観的に表現するもので個性的表現の余地が少なく、文学、音楽、造形美術上の著作に比べて創作性を認めにくいとされています。

ページの先頭へ
menu