フレームワーク:緊急措置のポイント

イシューには,①イシューでないものをイシューとして対処する誤り、②イシューをイシューではないとして対処しない誤りの2つがあるといわれています。もちろん能力的に対処を間違えるということもありますが,ここでは分類だけを問題にしています。

 

①は「慌て者の誤り」、②は「ぼんやり者の誤り」といわれるのだそうですが,実は,この両者はトレードオフの関係にあり,問題は,緊急措置をとるラインをどこに引いておくかという問題に置き換えることができるのです。

 

要するに判断基準を厳しくすれば①になる確率が高くなるし,緩めれば②になる確率が高くなるということです。ただし,官僚組織のように無駄な過程の連鎖を構築したがる組織体では①が多くなるという傾向がありますが,ここでは考慮しないことにしましょう。

 

例えば,お客様の安全,法令遵守,会社の信用に関わる問題について,51パーセントを超えたら対処を始めるという基準を構築するのが適切であるか否かということになります。

 

例えば,単に業務の手順にすぎないことについて1パーセントまで判断基準を厳しくすると,手続が多くなりすぎてしまい,業務の効率が低下して売上も低下するという関係を招くでしょう。しかし,基準を緩めてコスト削減を図っても,お客様の安全が損なわれ信頼を無くしてしまえば本末転倒です。事業体の命運を左右する判断基準を定立しておく必要があるということになる,ということになります。例えばGoogleなどは原則として問題が生じてから対応するというスタンス,つまり①と②を分ける判断基準がとても緩やかなスタンスをとっています。しかし,外資系ではあり得ますが,日本の場合,それがスタンダードとはいえません。これも一つの経営判断といえるでしょう。

ページの先頭へ
menu