フレームワーク:問題発生モデル

イシューが発生するにはどのような経過があるのでしょうか。

 

① 引き金となる端緒

② 拡大メカニズム-問題が大きくなるメカニズム

③ お客様を守るための仕組み不足-歯止めがない

 

問題発生対策としては,①に対して引き金を防ぐ対策、②に対して問題の拡大を防ぐ対策,③に対して顧客を守る対策をしておく必要があります。

 

よくいわれることとして,営業マンに経理も兼任させると横領が起こりやすいという「引き金」になるといわれています。そして,独立した経理が監督するシステムがないと「拡大」を招くということになります。横領をすれば使ってしまいますのでお客様からの代金が自社に入金されず,商品の発送ができないというトラブルとなって顕在化することがあります。例えば,ヒューマンエラーとしてよく例示される航空管制では,ひとりあたりの受け持ち機数とバグの数は比例しているという仮説が成り立つのではないでしょうか。この仮説からすれば,ひとり当たりの受け入れを制限することによりバグの発生を食い止められると考えられるわけです。

 

この中で,①については外部要因と内部要因がありますが,法律事務所でコンサルティングをするものとしては,内部原因に基づくものが多いと思います。例えば、チームで仕事をする態勢がなく属人的な割り振りになっている場合は定期チェック、健康管理、円滑なコミュニケーションが挙げられます。

さて,問題発生のメカニズムで一番重要なのは拡大を許さないことです。小さなバグは日々発生するものです。そこで,問題が拡大しないように対策を講じておくことです。消防士が出動しなくてもスプリンクラーが消火してくれるようなものを制度的に整えておくということになります。例えば、チームを組んで仕事をするというのも一つです。ひとりが抱え込んでしまうと,その人が休暇を取った場合、ますます問題が大きくなってしまうこともあります。小さなバグの発生は織り込んでそれをフォローしていく態勢をどのように講じるかが重要といえるのです。やはり航空管制の場合は複数で管制をするものとされています。ひとりがバグを起こしても速やかにもうひとりがフォローをいれてイシューの顕在化を防止しているといえるわけです。

 

さて,お客様を守る仕組みというのは言い換えると,事後対策であると思います。イシューは生じたものの,そのイシューがお客様に被害を与える前に修理をしてしまおうという対策といえることです。これは必要と判断されるときは徹底的に実行することが必要です。これも航空管制でいえばシステム上に,急接近が起こりそうな場合は「CF」と表示され,異常を多くの人が認知できる仕組みになっているということがあるといえそうです。航空管制の世界は事後対策が適当ではないので,すべて事前対策となる分負担が重たいのですが,システムで管理することでヒューマンエラーを防止するということが良策であると考えられます。

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