減価償却費のキモ
会計理論の中でも困った存在が減価償却費ではないかと思います。
減価償却費は経費ですが、キャッシュの出入りがありません。
減価償却という考え方は固定資産の購入費用を数年に分割して経費に計上していくというわけです。
経営者からすれば、固定資産を一括購入したら全部費用としてその年度に計上したいものです。
しかし、固定資産には耐用年数がありますから、その取得費用を各年度に耐用年数に応じて割り付けるというのも会計理論からいって理論的なわけです。
しかし、100万円の固定資産を買っても、耐用年数が10年であれば当期では10万円しか費用として計上できないということになると、会社にあるキャッシュとペーパー上あってもよさそうなキャッシュは一致しないことになります。つまり、計算上は利益が出ていても、現実にキャッシュはない、という事態が起こります。
そして、上記の会計理論に加えて、「税金をたっぷりいただくよ」という税法理論が事態を複雑化させているといえるでしょう。
つまり、税法理論としては耐用年数を長めにとることで、一括の費用計上を防ぎ税金をとれるようにしたいわけです。
建物などは、短いものは11年ですが、鉄骨鉄筋コンクリートですと50年・・・
いくら鉄骨鉄筋が丈夫といっても、木造よりはコストも高いのに費用がこんな感じで割り付けるのであればリスクが高すぎますね。
京セラなどでは、独自の固定資産の減価償却基準を作って、自前の財務諸表は税法理論に影響されないようにして、アップトゥーデートの状態を保持しようという試みもあります。
確かに法定耐用年数がパソコンの場合違和感を生じるものも少なくありません。パソコンはもはや消耗品であり、1年で取り替えてしまうことも珍しくありません。
にもかかわらず法定耐用年数によると、財務諸表の信頼性が落ちてしまうということを理由にしているようです。
中小企業は、ほとんどが税法上の耐用年数で固定資産の減価償却を行っています。