繰延資産の要件

繰延資産というのは、既に対価の支払いが終わりこれに対するサービスの提供も受けているものの、その効果が将来にわたって発現するものをいいます。

たしかに効果が長く続くのですから、理論的にはその効果が続く期間に配分するのが合理的であると考えられます。経過的に、貸借対照表上の繰延資産として計上することができると考えられます。

例えば、創立費、開業費、株式交付費、社債発行費、開発費などである。

 

この点、繰延資産は、財産価値がありません。ですから、資産計上の根拠を適正な損益計算、企業の成績を図ることに求めるのであるならば、むやみな繰延資産の計上は認められないということになります。

 

したがって、原則的には、全額を発生時の費用とすべきであるものの、将来の収益との対応関係が認められる項目に限り、適正な期間損益計算を優先して、繰延資産への任意計上が認められるものと考えられています。

 

この点、繰延資産はすでにサービスを受けてしまっている点に特徴がありますので財産的価値はありません。これに対して前払い費用というのは、サービスの提供を受けていませんので財産的価値があります。

 

このことからも分かりますとおり、繰延資産とうのは、財産的価値があるということに根拠を求めることはできないのです。あくまでも支出の効果が将来にも及んでいるという若干ファジイな点に根拠を求め資産計上することになると考えられます。

 

繰延資産については償却が必要であると考えられています。すなわち、財産価値がない物が資産として計上され続けることは企業の財務健全性の立場から望ましくないといえます。

したがって、保守主義の観点から繰延資産については償却期間の制限を設けて償却されることになっています。

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