宅建業者が売主となる場合に違約金2割は適法か。

山元くんは,新居を購入するためにA物件をライトニングシャインという宅建業者から購入することにしました。

 

建物を建築するはずの工務店とトラブルになってしまい山元くんは,ライトシャイニング社との土地売買契約を解除しました。

ところが,ライトシャイニングの松浦社長は,「宅建業法で決まっていますので」と売買代金の20パーセントの違約金が請求されました。

 

さて,これはライトシャイニング社は山元くんに20パーセント分の違約金を請求することができるかという問題となります。

宅建業法では代金額の20パーセントまでの違約金と決まっています。これは行政的な強行法規であると考えられます。

 

ところが,事業者としては宅建業法のみによるのは適切ではなく消費者契約法にも目を向ける必要があるのです。

 

消費者契約法では,事業者に平均的に生じる損害額しか認めらないと規定されています。したがって,山元さんが2週間程度でキャンセルをしているという場合,

事業者に代金額の20パーセントの平均的損害が生じることは実際上はあり得ないと思われます。

したがって,宅建業者以外の事業者の場合は20パーセントを売買の違約金として設定すると消費者契約法に違反するおそれが出てきます。

 

なお,仕入れをして宅建業者が売主になる場合は異なります。宅建業法38条の定めによりますと宅建業者が自ら売主となる場合は,代金の2割までは請求しても良いということになっています。

宅建業者が「売主」となる場合には消費者契約法は適用されませんが,逆にいうと「売主」にならない仲介の場合については注意をするべきであると考えられます。

 

宅建業ではない法人が1回限り自社物件を消費者に販売する場合が要注意です。この場合は弁護士を代理に入れた方が良いと思います。

この場合は,消費者契約法が適用されますので,事業者に平均的に生じる損害額までしか請求をすることはできません(消費者契約法11条2項)。

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