再生手続開始決定がなされるとどうなりますか。

再生債権については、再生手続開始後は、民事再生法に特別の定めがある場合を除いて、再生計画に定めるところによらなければ、弁済等の行為をすることはできません(民事再生法85条1項)。

 

もともと弁護士の介入通知後は、再生債権については支払を停止していることが多いので、それほど意外なところはないでしょう。

 

次に、個別執行や他の倒産手続が禁止されます。

再生債権に基づく強制執行ができなくなり、既になされている強制執行は中止されるということになります(民事再生法39条1項)。これも破産手続とパラレルですので、まあそうかな、という感じでしょうか。

 

更に、少額の再生債権の弁済許可というものがあります。

少額の再生債権については、早期に弁済しなければ再生債務者の事業の継続に著しい支障を来す場合については、裁判所は、再生計画認可の決定が確定する前であっても、再生債務者等の申立によって、その弁済をすることを許可することができます。

 

とはいうものの、これ、弁済許可申立書というものを出しておくわけです。具体的には「申立人が、再生手続開始後、再生計画の認可決定確定までの間、下記買掛金債権につき、下記のとおり弁済すること、の許可を求める」というような感じです。自分で文書を作っていって、裁判所書記官が許可したことを証明する、という判子をぽんと押してくれます。

 

裁判所のコメントとしては、個人再生手続を選択する事業者は事業規模が小さいので、少額の再生債権を早期に弁済しなければ再生債務者の事業の継続に著しい支障を来すというのはかなり限定されると考えられるのだそうです。

 

しかし、事業を現実に継続している場合は、買掛金を弁済しないと取引先から取引停止をくらってしまいます。なので買掛金などはむしろ、事業継続に著しい支障を来すと考えるのが普通ではないか、と思います。

 

なお、再生手続開始後に再生債務者が行った事業に係る買掛金は、共益債権に当たりますので(民再119条2号)、これを随時弁済することができることになります(民再121条1項)。

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