公租公課の取扱について
公租公課については、いきなり差押をすることが認められています。ですから、債務者が長期間にわたり滞納をしている場合には、受任直後に売掛金を差し押さえられ、そのまま倒産に追い込まれることがありますから、細心の注意が必要となります。
民事再生手続では、手続開始前の公租公課は、一般優先債権とされており、裁判所の命令がなければ既になされている滞納処分や強制執行を中止することもありません。
滞納している公租公課の分納合意の有無・内容については、再生計画案の履行可能性の判断にも影響を及ぼすので、一般債権と併せて適切に支払の見通しを立てることが不可欠ととなります。
特に、個人再生手続については、短期的な資金繰りの見通しの確保が重要になってきています。売掛金の回収については、債権譲渡担保が設定されていないか、公租公課の差押の懸念がないか、相殺のおそれはないか、などを検討する必要があると考えられます。
また、倉庫や工場に保管されている商品、原材料や事務所の什器備品等について、一部債権者から持ち出されたりしないように注意が必要となります。
さらに、倉庫や運送業者に、倉庫料、運送料の未払いがあれば、商事留置権を主張されるおそれがあります。別除権の受け戻しの交渉をするなどの交渉が必要になると考えられます。