個人事業主と小規模再生

これまで、個人事業主の小規模再生はあまり活用されてきませんでした。

 

その理由としては、中小企業円滑化法などのセーフティネットが機能したこと、過払金があったということが挙げられます。

 

しかしながら、今後は円滑化法の期限切れを迎え、過払金についても終息傾向になっています。

こうした環境の中で個人再生手続をご紹介したいと思います。

 

個人再生は「再建型」の債務整理というべきであり、申立人には「継続的に又は反復して収入を得る見込みがなければならないとされています。

 

収入の見込みにつきましては、事業者の財務内容、資産を把握したうえで、再生手続選択後も事業継続の見通しが立つこと、再生計画上の返済ができるだけの事業収益が見込めること、従業員の協力が見込めること、過半数の債権者から消極的同意が得られること、公租公課の支払に目途が立つこと、短期的な資金繰りの見通しが立っていることが挙げられます。

個人事業主に事業継続に不可欠な仕入れ先や販売先がある場合については、取引先との取引継続の見通しを確認しなければなりません。特に買掛金の扱いが問題となります。買掛金が再生債権として減免されるということになりますと、仕入先が取引継続に消極的になるということも考えられます。

 

個人事業主の場合は法人の場合とは異なり、受任通知を出しつつ、事業継続をしながら申立の準備をなし、一定期間経過後に申立をするパターンが多いと考えられます。

 

事業継続のために買掛先に対して受任通知をいつ発送するかについては、弁護士との入念な打ち合わせが必要になると考えられます。事業継続のために必要不可欠な買掛先であることが明確に確認された場合については、受任通知に「支払は継続するので取引継続をお願いしたい」という趣旨の文言を入れるなどして事情説明をして、受任後も支払を継続することになろうかと思います。この点は、全く問題がないとはいえませんので、弁護士との入念な打ち合わせが必要になると思います。

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