派遣労働者の契約打切り

派遣労働者については、裁判所は、解雇権濫用の法理を類推適用することについては、消極的な姿勢をみせています(東京高判平成18年6月29日)。

 

つまり、派遣元は、雇用期間が終われば派遣労働者との契約を終了させて差し支えありません。

 

派遣元は、派遣先との関係を悪くするリスクを背負い、派遣先と覇権労働者の雇用継続について話し合いをする動機はありません。

需要がスポット的なものであるということは派遣元も理解していることが多いからです。

 

もっとも、従業員からしますと、派遣労働者の期間雇用契約の打ち切りは、より深い問題があります。現実には寮を提供され、衣食住のうち食住を提供されていることが多いのです。

また、彼らには、雇用保険の対象とならないので、雇用保険があるというわけでもありません。

 

ですから、トラブルは感情面での軋轢から生じることがありますので、こうした観点からも配慮が必要といえます。

 

また、期間中の雇い止めや契約解消も問題となります。実務と法律が乖離している部分ですが、法律では期間の定めがあると会社側からは簡単に解雇はできないと規定されています。

ですから、現実にこれまで1か月でいなくなったという人がいても、新たな人が、やめてほしいがやめてくれないという事態が起こっても、期間満了までは止めてもらうのは難しいということを自覚する必要はあるかもしれません。最高裁は、人件費の高い正社員を減らしてまで、非正規雇用を維持することは求めていませんが、その代わり、期間途中での契約解消にはかなり厳しい態度といえます。

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