デリバティブ取引紛争の概観

デリバティブ取引について、銀行による中小企業向け為替デリバティブ、個人向けの仕組債、仕組み投資信託の販売、学校法人向けのデリバティブ販売等があります。

 

この手の事案は法律相談を受ける弁護士としても、互いに意識しなければ、それぞれがイメージしているケースが違っている議論をしていることもあります。

 

説明義務について高裁判決ではあるものの、証券会社と顧客との間には、取引の対象となる金融商品に関する知識や取引経験、情報収集能力に大きな格差があることが一般的とされていると前提にしたうえで、「取引の仕組みやリスク等の情報について、必要かつ相当な範囲で具体的な説明を行うべき信義則上の義務を負うものとされています。そして、顧客は、必要な説明を受けた後には自己責任の下に投資判断を行うものであるから、必要とされる説明義務の程度は、当該顧客の知識、取引経験、理解力等に応じて自己責任の下に合理的な投資判断をするのが可能か否かという点から決定されるべきであるとしたこともあります(東京高裁平成24年7月19日)。

 

こういった点はベースラインとなっております。

 

東京地裁平成24年11月12日について、「オプション取引の経験がない一般投資家に対して、ノックインプットオプションの売り取引による損失のリスクを負担させる金融商品を勧誘するにあたっては、金融工学の常識に基づいても、、他の金融機関とは異なるオプション取引のリスク特性及び大きさを十分に説明し、かつ、そのようなリスクの金融工学上の評価手法を理解させた上で、オプション取引によって契約時に直ちにしかも確定的に引き受けなければならない将来にわたる重要なリスクを適正に評価する起訴となる事実であるボラティリティ(株価変動率)、ノックイン確率及び確率的に予想される元本毀損の程度などについて、顧客が理解するに足りる具体的で分かりやすい説明をすべき信義則上の義務がある、ということです。

 

ポイントは、この取引をするとどうなるのか、この契約をしたら自分はどうなるのか、どのようなリスクがあってどんなメリットがあるかということだと思われる。

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