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初の司法取引―会社の利益のために従業員の責任追及でいいのか2018年07月14日

タイでの事業にからむ現地の公務員への贈賄疑惑をめぐり、事業を請け負う「三菱日立パワーシステムズ」(MHPS、横浜市)が、東京地検特捜部と捜査に関する司法取引に合意したことが関係者の話でわかった。6月に始まった司法取引は捜査に協力する代わりに刑事処分を軽減してもらう制度で、適用が明らかになるのは初めて。

関係者によると、特捜部は外国公務員への贈賄を禁じた不正競争防止法違反の疑いで捜査しており、同社は社員らの不正行為を明かし、法人の立件を見送ってもらう狙いがあるとみられる。

MHPSは三菱重工業日立製作所が双方の火力発電事業を統合し、2014年2月に発足。関係者によると、贈賄疑惑があったのは三菱重工が受注し、MHPSが引き継いだタイの発電所建設事業とみられる。同社の社員らが現地の公務員に賄賂を渡した疑いがあるという。同社は、特捜部の捜査に協力し、情報を提供する司法取引に合意したという。

しかしながら、現地には、現地の受注の慣行がある。不正競争防止法違反といっても実質的には、会社がリストラ要員などについて、特捜部に情報提供し、司法取引をするということも考えられるのではないか。一般的には、個人の協力を得て巨悪を追及する組織犯罪の解明が目的のはずなのに、組織である会社が免責されてしまい、従業員の責任だけ追及するのでは、本末転倒である。たしかに、外国公務員への贈賄は、不正競争防止法で禁じられている。賄賂を渡した個人は5年以下の懲役または500万円以下の罰金、法人には最高3億円の罰金が科される。収賄側の外国公務員は処罰の対象外になっている。しかし、今後は、司法取引の当事者である法人がどのように関与し、その結果、司法取引で免責されることが社会常識からみて妥当と判断されるのか。検察の常識が問われているといえよう。

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