弁護士に対する弾圧、新手の手法に―中国。

事実としたら、自由の担い手に対する重大な挑戦である。

中国で起きている弁護士の資格剥奪行為である。これまでは露骨な行為が多かったが、証拠捏造、進行妨害などの後付けの理由で弁護士の資格をはく奪しているというのである。しかしこれらは後付けのものにすぎないと考えられる。新たな中国における弁護士弾圧に対して、今こそ日弁連も声明を出すべきではないだろうか。同じようなことは権力が腐敗すれば、古今東西を問わず、出てくるものである。

共同通信によれば、中国の習近平(しゅう・きんぺい)指導部が人権派弁護士ら約300人の一斉連行に着手して9日で3年。当局は最近、西側諸国などからの批判をかわすため、新たな拘束を控える一方、懲戒手続きを通じて弁護士資格を剥奪するなど「新手の抑圧」(香港の支援団体、中国人権弁護士関注組)に乗り出している。日弁連も裁判所におもねりすぎではないか。現在の弁護士出身の最高裁判事も加計学園の関係者である。長期政権に日弁連も翻弄されているのであれば、毎日のように出している強制加入団体のドメスティックな政治的声明ではなく、大局、すなわち、自由、民主、平等という価値を体現し言論をいえるのは、弁護士であり、その基盤は自由かつ独立であるから、という点を考慮しなければならない。

同団体が6月に発表した声明によると、2017年9月から今年5月までに、中国で少なくとも17人の人権派弁護士が資格登録を抹消されたり、業務停止に追い込まれたりした。

17人のうち一斉連行で拘束されたり、拘束された弁護士の代理人を務めたりした弁護士が9人。残る8人は一斉連行とは直接関係がない。

中国当局は政府に批判的な言論を問題視するほか、過去に携わった訴訟での「証拠捏造(ねつぞう)」「進行妨害」などさまざまな理由を持ち出して懲戒手続きにかけ、資格剥奪に追い込んでいる。

証拠捏造や進行妨害についても、当局の意向が簡単に投影されるということである。このようなことがまかりとおれば、自由かつ独立の存在の基盤そのものたる弁護士が活動できなくなり、ひいては脆く回復しにくい基本的人権が侵害される。

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