名古屋地裁で裁判官が判決なしで口頭裁判、書記官も調書を偽造

判決の原本が未完成のまま判決を言い渡していたとして、岐阜地裁は13日、名古屋地裁で判決の原本がないのに違法判決を出していた名古屋地裁裁判官(現、岐阜地裁裁判官)の判事、山崎秀尚氏(58)の裁判官分限法に基づく懲戒を求める申し立てを名古屋高等裁判所に行った。今後、国会に裁判官弾劾の請求もなされる可能性が高い。

山崎秀尚裁判官は裁判長として、名古屋地裁岡崎支部に在任中、昨年4月17日~今年3月30日の間、36件の民事訴訟で、判決の原本が完成していない状態で判決を言い渡していたと説明している。しかし山崎秀尚裁判官は平成26年から名古屋地裁で勤務しており、余罪が相当数あるとみられる。

民事訴訟法の「判決の言い渡しは、判決書の原本に基づいてする」との規定に違反するもので、民事訴訟の場合は事実認定や争点の整理、裁判所の判断など記載しなければいけない事項が多いため、ほとんどフィーリングで判決をしていたものとみられる。判事の山崎秀尚被懲戒人は岐阜地裁の取調べに対し、判決言い渡しの時点で草稿のようなものはあったと説明している。しかし、刑事裁判の自白裁判とは異なり、ほとんどが否認事件の民事訴訟において、前提事実、当事者の言い分の整理、争点整理、争点についての指摘、争点に対する判断がメモで行われていたなどという弁明は虚偽とみられる。

山崎秀尚裁判官は、「事件処理に追われ、やむなく行ってしまった」と話しているが、約1年で36件の裁判で違法行為が行われていたということになると、ほとんどの民事裁判が違法裁判であり、憲法32条に違反することになる。したがって、余罪が相当数存在するものとみられる。

通常であれば、名古屋地方裁判所の書記官が判決言い渡しの際、判決原本を確認する以上、担当書記官が原本がないことに気づき、主任書記官等に相談するのが通常である。しかし、名古屋地裁書記官室は、「原本がないことは認識していたが、対応に苦慮し、原本があったかのように記録に記載してしまった」と調書の記載を偽造したと話しているという。今後、名古屋地裁書記官が判決原本がないにもかかわらず、それを知りながら書記官事務を行ったことも懲戒事由を免れない。

平成30年4月、名古屋地裁が控訴事件の記録を点検した際、判決言い渡しの期日から当事者への判決正本の送達まで通常より時間がかかっていたことが分かり、発覚したというが、山崎秀尚裁判官が名古屋地裁から岐阜地裁多治見支部長に異動してからすぐに分かったというのも不自然である。名古屋地裁在任中は、名古屋地裁書記官室が憲法違反の行為を隠蔽し書記官も調書を改ざんしていたものとみられる。

山崎秀尚岐阜地裁多治見支部長は、ゴールデンウィークがあり5月はほとんど開廷しないことから、事実上1か月足らずで更迭され、現在、岐阜地裁本庁の破産部で裁判官をしているという。

名古屋地裁の民事事件の多くは山崎秀尚裁判官が担当していたことから、その多くがフィーリングの判決だったことには驚く人もいるだろう。メモや草稿といっても期日の度に期日調書が作られるのでこれをもってメモなどといっているのであれば、全く非常識というしかない。「再審事由に当たるもの」も出てくるように思われる。今後、当事者から国家賠償訴訟や再審を申し立てられる可能性も出てくるとみられる。名古屋地裁は事件の当事者らに連絡を取り、謝罪しているというが、書記官が調書を隠蔽していることなどは謝罪していない。

判事の山崎秀尚氏は4月、岐阜地裁多治見支部支部長に異動した直後に、名古屋地裁岡崎支部が「いなくなった途端問題を明らか」にしたことから、わずか1か月で多治見支持部長を更迭され、5月16日付で岐阜地裁に異動になり、閑職の破産部に左遷されている。

違法行為が行われたのは名古屋地裁であったが、異動するまで不祥事が発覚し、3年で異動する裁判官では異例ながら1年山崎秀尚は異動を拒んでいたとみられる。

岐阜地裁の田村真所長は「法を順守すべき裁判官が法律に基づかない手続きを行ったことは誠に遺憾であり、再発防止に努めたい」との談話を出したものの、憲法違反という認識や再審事由に該当すること、書記官と共謀していたことなどに対する事実認識が甘く、極めて非常識なコメントと思われる。なお、違法行為の舞台となった名古屋地裁はコメントを出さず、調書を相当数偽造していた書記官室の不祥事については、このまま違法でありながら隠蔽される見通しだ。岐阜地裁では、過去、弁護士を脅迫した公務員職権乱用で、岐阜地裁多治見支部長の近田正晴判事(52)(現在、名古屋高等裁判所民事2部に『栄転』)を書類送検している不祥事も起きている。名古屋家裁では、平成30年にも書記官の調書偽造が明らかになったばかり。名古屋家裁では、今年書記官の審判偽造事件が起きて「監督を徹底したい」などとコメントしていたが、またしても大量の書記官が調書を偽造していたことになる。これは、刑法上の罪に触れる可能性もある。

以下引用。

名古屋家裁は26日、審判事件の文書を裁判官に無断で書き換えるなどしたとして、国家公務員法に基づき、50代の男性書記官を停職3カ月の懲戒処分にした。男性は同日付で依願退職した。

家裁によると、審判事件に関する文書の内容を誤記した場合、裁判官の許可を受けて改める必要があるのに、男性書記官は平成28年4月~29年10月、主文の内容や当事者の氏名を無断で書き換えるなどした。また29年10月に別の裁判所への移送決定が出た文書を自宅に持ち帰り、事件処理の進行を遅らせた。

今年1月ごろ、別の書記官が文書の書き換えに気付いた。男性書記官は「ミスを隠したかった」などと説明している。

家裁の鹿野伸二所長は「指導監督を徹底し再発防止に努めたい」とコメントした。

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