パククネ大統領の弾劾と大統領の器

よく「アイツは社長の器ではない」という話しを聴きます。

 

昨日の報道ステーションのコメンテーターとアナウンサーのやりとりは、腹に落ちるものでした。

 

コメンテーター「要するに、彼女は大統領という席に座ってはいけなかったんですよ。大統領の器ではなかったということですね。」

アナウンサー「さみしかったってことですよね」

 

ということなのでした。

 

この議論は、実は正鵠を射るものであったと思います。皆、パククネ氏に対する評価は否定的なものが多いと思いますが、

・人気早々から財閥系の娘の占い師に国家資格を漏らしていた

・毎月占い師とすき焼きパーティーをしていた

 

といったものです。しかし、一番許されないのは、彼女は、財閥についてなんとかするといって庶民派と父が暗殺された恵まれない悲劇のヒロインを演じて当選しただけに、実は財閥系の子女に便宜供与を図っていたなどの事実が発覚し、もはや騙されたと感じる人々が多いことでしょう。

 

今回の実態は、「おばさん政治」に外なりません。他の意見を寄せ付けず、40年来の付き合いの占い師との不透明な関係を持ち込み、秘書官との接触は拒む一方で占い師とは、毎月すき焼きパーティーをしていたのだ、といいます。

 

中日新聞社説は密室政治ですが、占い師と占いで決めるのが「政治」なのでしょうか。占い師を人事や政務に介入させたスキャンダルは、執務ではなく井戸端会議の一環と述べても不思議ではないでしょう。政権をまさに私物化したという中で、記者会見でも質問も受け付けず、容疑者として共謀が認定されてもプルトン(不通)の姿勢は国民の怒りを買うのに十分であったと思います。疑惑について説明すべきことも説明せず、捜査も弁護士を立てて拒み続けた結果、仲間のはずの与党からも三行半をつきつけられた。

 

今後は、憲法裁の審理に移るものの、パククネ氏は大統領職を追われれば逮捕されることは必至であることから、憲法裁徹底的に争うのではないでしょうか。韓国の憲法裁判所の判断枠組みは、大統領と罷免するほどの重大な違法があるか否か」「大統領の権限と地位を濫用し、収賄や公金の横領などの不正腐敗行為」など5つを列挙しています。

 

しかし、今回は、職権濫用の罪での共謀が認定されて訴追されているものの、財閥系企業の支配からの脱却という夢を抱かせて当選したパククネ氏。形式的な判断よりも言行が全く一致していない詐欺師のような振る舞いであり、国会が認める弾劾の憲法裁量を尊重して早期に罷免判決を出すべきであると考えます。

 

今回は、父を凶弾で失った悲劇のヒロインの心の隙を占い師が狙ってきたというもののようですが、もはや大統領としての体をなしておらず、憲法裁判所の判断枠組みで判断するか否かの妥当性もあり、国会の手続の公正さのみを考慮し、国会の訴追権の濫用とみられない以上は国会の憲法裁量を憲法裁判所といえども尊重するべきで、判断を自らの立場で審査する判断代置型の審査アプローチは極めて不適切であることは明白であるといえます。

 

パク氏は来年になれば、ふたりの裁判官が退官し、補充ができないことから、9分の6の賛成が必要から7分の6、つまりほぼ裁判官全員の一致が必要であることから、憲法裁で大統領として職務復帰し、最期まで任期を全うし怒りが静まってから逮捕されたいという希望なのではないでしょうか(なお、逮捕や拘禁は朝鮮日報、中央日報の記事に基づいていますうえ共謀が認定されて、他の被疑者が勾留されている以上、勾留されるのが合理的であろうとの予測に基づいて執筆しております。)

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